「他業界からみた林業」をテーマに弊社代表の永井が登壇しました。

2019年12月23日

2019年12月14日(土)、都内で「ソマノベースキャンプ」というイベントが開催されました。


ソマノベースキャンプとは...

林業界のトップランナーによる知識やノウハウを集約したWEBメディア「ソマノベース」をつくります。このメディアを通じて林業情報の蓄積とアクセスの簡易化を実現します。

そして若手林業家の技術力・事業力を育て、林業界のトップランナー・若手林業家・他業界の三者を繋ぐプラットフォームとして林業界が自力で収益を生める社会に貢献します。

(「ソマノベースキャンプ」Webサイトより転載)


そのイベントに弊社代表の永井と、親会社であるクレストホールディングス株式会社の取締役COO&CSO望田(2020年1月より就任予定)が「他業界から見た林業」をテーマに登壇しましたので、今回はその様子を抜粋してご報告します。


司会:お二人は林業界をどのようにご覧になっていますか?

望田:事業家サイドからみるとしっかりと利益を上げられていない(儲けられていない)ことが最大の問題だと思います。利益が生まれないのであれば業界自体がなくなってしまう、だからこそ皆で仕組みを変えていかなくてはいけない。

永井:私が経営する株式会社クレストの所属する看板工事業界(サイン&ディスプレイ業界)も業界全体として高い利益が生まれにくい状況となっています。私自身はその時にバリュー・チェーン(以下:VC)を変革して軌道に乗せたという事例を持っています。木材業界もVCが長いのでそこを改善していくということ、また木材卸会社から見て前工程がどのように製造しているのか、後工程を見るとどのように使われているのかといったことが分かりにくい、VC内でのコミュニケーションが不足していること、この辺りを見直す必要性を感じています。利益が生まれるビジネスに変えていく、そうすることによって人が集まる業界へも変化していくはずです。

司会:具体的にはどのように変えていけばいいのでしょう。

永井:私たちのグループでは「Legacy Market Innovation®(レガシーマーケットイノベーション)(以下:LMI)」というフレームワークに落とし込んでいます。横軸を生産性とし、縦軸は市場の成長性とします。既存の企業は生産性と市場の成長性がともに低い状態に位置しているのですが、ここから右上に移動していく必要がある。これが林業界をはじめ木材業界に求められていること、私たちがやっていかなくてはならないことです。生産性の低い企業が最初に市場の成長性を求めることは非常に難しいため、まずは生産性を高めるところから始めていきます。生産性を高めて獲得した資金をイノベーション実現のための投資に充てていくのです。

望田:利益を上げられるための変化についての具体案というのはまだ考えている最中ですが、木材に付加価値を付けていくようなこと、啓蒙を行っていくには時間がかかります。従って、まずは効率を上げて生産性を高めていくことで収益性を上げていく方がやりやすいものと思います。効率化して、生産性をあげるために必要なもののひとつがまさに「情報」です。この情報をしっかり集めて、管理し、最適な業務、最適な需給のマッチング、最適な価格形成を行っていくことが比較的短期間で取り組めることだと思います。林業・木材業界はどれくらい木が育っているのか、誰が伐採するのか、それを誰が必要としているのか、この辺りが情報によって管理され最適化されるだけでも大きく変わっていくはずです。多くの方と話している中で、自分たちが販売しているもう1つ先の購入者(VCの一つ川上&川下)、この方々と情報が連携され、データを蓄積してくれる方がいると大いに活用できるデータベースとなると思っています。このデータベースを構築していくためには行政の協力やテクノロジーの力も欠かすことができないでしょう。業界全体などと考えてしまうと、一気に難しくなるため、各プレイヤーが自分の周りの情報を集めていく蓄積していくことから始めるといつしか業界全体が変わっていくのだと思います。

永井:先程も話しましたが、木材業界の木材が切られてから現場に納品されるまでの全プロセスにおいて縦と横のコミュニケーションが十分にできていない、例えば市場で今日は何が売れたか、であったり、どれくらいの価格で売れたというような情報を川上と共有する、設計事務所や工務店では今どの樹種が人気なのかを川上と共有する、そしてこのような情報を一元管理することができれば大きな変化が起きます。

望田:私は木にトレーサビリティを取り入れることで一元管理を行っていきたいと考えています。これにより木材がどこから来てどこに行ったのかといったことが分かるようになります。将来的には年輪で個体管理ができるようになってくるかもしれないという話もあります。そうすると、我々が販売した木材がどこで生産されたのか、誰が生産したのかといった情報と木材が最終建築物である住宅や公共物等にどのように使われたのか、だれが使ってくれたのかということが結び付き、最終使用者に対して目に見える生産者として身近となる可能性もあります。そうなると生産者には金銭的な部分以外での「やりがい」というものが生まれてくるかもしれません。

司会:林業に限らず農業のような業界でも見られる動きのように思います。あらゆる業界において通ずる法則のようなものがあるのでしょうか。

永井:それは業界によってやり方は様々でしょう。ただし、その前提としてテクノロジーの勉強をしなくてはいけません。ブロックチェーンやAIといった最先端のものも勉強もしなくてはいけない、多くを学ばなければなりません。それと重要なのは現場を徹底的に知ることです。現場で何が課題なのかをしっかりと感じ取り、本質的な課題を見つけなくてはならないのです。現場のことを知らずに「これやったらいいよね」では現場の方の反感を買う可能性が生じますし、本質的な課題は出てこないのです。

望田:勘違いをしてはならないことがイノベーションは簡単に起きないということ。なので、まずは生産性を上げていくことから優先させるため、先程のLMIの図の横軸の中で生産性を上げていくという話をしましたが、そこで大切なのは当たり前のことをしっかりやるということ。利益が生まれないのであればなぜ生まれないのかをしっかり分析して問題の真因を特定して改善する、そこに必要なデータが外にあるのであれば頭を下げてデータをもらいに行く、業界をどうしたいのような大きな話ではなくまずは目の前のことをしっかり行っていくことこそが大切です。

永井:外部との繋がり方についてですが、外部からアイデアの提案を受けてもそれを持ち帰って実行するプレイヤーがいないと話が進まなくなってしまいます。そうならないために、それぞれの企業にイノベーションを起こす原動力となる人材を入れていくこと、業界を本気で変えていかなくてはならないという強い信念をもって本気で勉強して取り組んでいける人を巻き込むこと、このどちらかが大切だと思いますね。


-短い時間の中ではありましたが、聴講していただいている方々の深くうなずいている姿が印象的でした。林業界の方々は外との接点が少なく、凝り固まって動かなくなった業界に大きな課題感を持ちながらもうまく一歩を踏み出せていないようでした。東集は今後も木材業界のイノベーションの実現に向けて取り組んでいきます。