【前編】不燃のいろは、お伝えします。

2020年01月06日

 近年、燃えにくい木材として注目が集まっている不燃木材。公共施設だけに使われているのかと思いきや実は最近は様々な場所でも使われ始めていることが分かりました。そもそも不燃材の特徴とは?今回は東集の萩原と廣神が不燃木材について語りつくします。前編となる今回は不燃木材の基礎知識を中心にお届けします。近年、注目が集まっている不燃木材とは? 

株式会社東集 東京西営業部 部長  萩原 実(写真左)

平成6年に東集に入社。最初に配属された茨城営業所とその後異動した栃木営業所で新規開拓活動を中心に従事。板橋店や本社での営業やお客様センターでの経験を経て東京西支店に配属される。平成28年に同店の店長に着任し、東京都や埼玉県エリアを中心に担当している。日々大切にしていることは「お客様が注文しやすい状況づくり」。 

株式会社東集 東京東営業部 部長 廣神 治(写真右)

平成6年に東集に入社。1年間新木場店での現場研修を経て、その後春日部営業所へ転勤。そこで経験を積み平成15年に千葉店で店長に就任し、東集の経営理念の構築にも携わる。千葉店が新木場店と統合され東京東支店の店長に任命され、現在は東京東支店のメンバーと東京都や千葉県エリアを中心に活動中。

不燃木材とはどのような木材?

―不燃木材とはどういうものでどういう種類があるのでしょう。

萩原:一般的に自分たちで取り扱いをしているものとしては、無垢に不燃の薬剤を注入して燃えないように加工した材ですね。あとはダイライトという元々の不燃素材に単板を貼ったものや不燃の構造用合板が中心となっています。一番多いのは無垢に薬剤を注入して羽目板として納めることが多いように思います。

廣神:まず、不燃木材がどういった形で生まれたのかということを考えると、「木をもっと内装に使っていきたいけど、防火とか安全性といった建築上の基準があって、どうしよう」という課題に対して燃えにくい木を作ろうということで各工場の方々が開発されたところからスタートし、15年程の歴史を経てきたのだと思います。

―では、不燃木材の特徴とはどのようなものなのでしょうか。

萩原:不燃木材を使うという事例は増えてきていますが、手間がかかっていたり薬剤を注入したりしているので通常の木材と比べて値段が高めです。現場で使いたいというのは昔からあるのですが、予算の範囲内で収まらないということがネックになっています。ですが、火事とか防火の面でどうしても使わざるを得ないという風潮となってきてここ最近は前持った予算取りが増えてきていると実感していますね。

―不燃木材の製造方法は工場によって特徴があるそうですね。具体的にはどのような違いがありますか。

萩原:木材を薬剤の中に放り込んで漬け込むというところが始まりだったと思いますが、それでは中の方まで薬剤が浸透しないことや時間がかかるといった問題がありました。それに対して工場側が努力を重ねた結果、加圧式といって圧力をかけて薬剤を注入する方法が今は主流になっています。中には木材に小さく穴を開けて薬剤が入りやすくしてから加圧器に入れて薬剤を注入するという工場も出てきているので、これからもよりスピーディーにそして低コストで生産が進んでいくのではないかと予想しています。

廣神:最初に不燃木材ができた頃は薬剤に漬けて完成としていましたが、それでは一本ずつの不燃具合の精度のバラツキが生じてしまっていました。時代の変化の中で、行政をはじめとする「公的」機関「から」、品質は均等に保たれているのかという意識が高まってきました。そういった環境が変わっていく中で機械を使って加圧する方法がまずできてきて、そして先程萩原さんが仰っていた一本ずつに穴を開けて注入するというのはさらに精度を高めていこうとする目的で開発された方法ですよね。このように見てみると不燃木材というのは進化し続けているように感じます。

萩原:木の種類によっては硬い木や柔らかい木もあって、その中で白太と赤身もあって、入りやすい場所や入りにくい場所というのが分かれます。白太といっても自然に生えている木なので白太だから全て入りやすいという訳ではありませんし、これは目視で分かるものではないのです。実際に薬剤を入れてみたものの実は入っていなかったということも発生しているのではないかと思います。

廣神:不燃木材が進化していく目的というのはどんなに大きな公共事業であっても、国を始め都道府県が提示する厳しい要求基準に対して自信を持って大丈夫だというための開発のように感じています。

-今は防火に対する意識も高まってきているようですから、それだけ高い品質の不燃木材が求められてきているのかもしれませんね。

萩原:そうですね、火災によって甚大な被害を被ってしまう事故が実際に発生してしまうこともありますからね。だから、「このままの状態ではいけないが木は使いたい」という意識が生まれてきているのと世界中でも木をもっと使おうとする考えが広がっていることもあり、今後もこの目的を達成していくための研究は進んでいくと思います。

-主に不燃木材はどのような場所で使われているのでしょうか。

廣神:主に公共施設で使われることが多く、一般住宅に使われることはまだ少ないですね。

萩原:例えばオリンピックで使用される大きな事業にはふんだんに使われているでしょうし、あとはホテルのような場所にも使われているでしょう。最近では店舗とか居酒屋とか密集している中で使われることも増えてきているように思いますね。建物自体も燃えにくい構造に、そして入居する店舗や居酒屋も燃えにくい内装にしていこうとする意識が高まってきているのではないでしょうか。我々がお付き合いさせていただいている企業様からの問い合わせもここ数年の中で少しずつ増えてきているように感じています。

廣神:例えば地下鉄のようなところであったり、私たちが気付かないところでも木材が使われていたりする、そのようなものは不燃木材が使われているのでしょうね。

萩原:不燃木材は見えるところだけではなく、見えないところで使うこともあります。内装業者が見えないところであっても芯材として不燃木材を使うケースも見受けられます。その他にも不燃木材に単板を貼ることで意匠性を高めて現場で使用する事例も増えてきていますね。工場側も不燃木材に独自性を出そうと努力している印象を受けています。

-不燃木材は不燃木材、準不燃木材、難不燃木材と分類されていますが、どのような違いがあるのでしょう。

廣神:そもそも不燃木材と呼ばれているが燃えない訳ではないのです。火事が発生し始めてから避難するための時間を確保するため、燃え尽きるまでの時間が何もしていない木材より長いのが不燃木材の特徴です。不燃、準不燃、難燃というのは燃え尽きるまでの時間の程度によって分類されます。一番燃えにくいとされているのが不燃木材、燃え尽きるまで20分の時間を要するとされています。

萩原:20分というのは温度を750℃にして燃え広がらないか等の細かいルールを守っているのが前提となります。そのルールの中で20分燃えないものが不燃、10分だと準不燃、5分の場合は難燃材という分けられ方がされています。私の感覚だと難燃材を見かける機会が減ってきました、20年程前は案件の中でよく聞いていたのですがその後準不燃木材が普及し、さらには不燃木材が多く利用されるようになってきました。

廣神:少し高価格でも「安心を買う」という時代に入ったのだと思います。最近の不燃木材のトレンドとして全品検査を行ったという保証を行えるのか否かということもあると思います。その保証の有無によってその工場と取引をするのか否か土俵にいるかいないかの差になるくらい違いますね。公共事業の例だと全品検査が必須ということまでは求められていませんが、全品検査を行っても支障がないと工場側が提示できるのは大きな自信の表れのように感じます。

萩原:火事になって10分で逃げないといけないのと20分で逃げないといけないとでは助かる率が全然違ってくるとも思いますね。

-それぞれの種類は価格や燃え尽きる時間以外でどのような基準で使い分けているのでしょうか。

廣神:例えば建物を建てようとして木材を使いたいとした時に、まずは立地に関する法規制を見ます。立地の案件によって「ここは難燃で大丈夫」「ここは不燃を使いましょう」と建築申請時に設定されています。

萩原:コスト面と法規制の制約、あとは設計士の意識の問題もあると思います。意識の高い設計士であれば不燃木材を使おうということにもなってきます。ここに予算との兼ね合いが絡んでくるのでしょうね。不燃木材を使いたいという方は多いと思います。準不燃木材より良いことは分かっているのですから。

廣神:たとえば来年行われるオリンピックの開催にあたって大きな公共事業として新しいスタジアムや施設が作られて木材がふんだんに使われていますが、多くの不燃木材が使われているでしょうね。


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