【後編】不燃のいろは、お伝えします。

2020年01月06日

 引き続きまして後編として「【後編】不燃のいろは、お伝えします。」をお届けします。前編では不燃木材についての基本知識等をお届けしましたが、後編では少し掘り下げ、不燃木材の実用的な内容を東集の2名がご説明します。ぜひご覧ください。

(前編をまだご覧になっていない方は「【前編】不燃のいろは、お伝えします。」を先にご覧ください。)

不燃木材を生産するための薬剤について

-次は注入する薬剤についてお話をお聞かせください。木材にホウ酸系等の薬剤を注入すると燃焼しにくくなる以外の効果も生じるようですね。

廣神:薬剤の種類になると細かい話になってきます。薬剤を1本に対してどれくらい注入するのか、工場によって法で定められている基準以上に入れていたり基準値ぎりぎりしか入れていなかったり様々です。薬剤を多く注入するとその分重くなりますので天井等、高い位置に使う場合は重さも考えた上で設計していただく必要があります。

萩原:あとは不燃木材の特徴として白華(はっか)現象というものがあるでしょうね。これは昔からついて回ってくる問題ですが、不燃木材は湿気や結露により中の薬剤が表に出てきてしまうことがあります。そうすると白い粉が噴いているような状態になってしまいます。何の対策もしていない場合はほぼ発生してしまうと考えていいでしょう。販売する際に注意事項をお渡しして白華現象についてお伝えするようにしているのですが、クレームになってしまうこともあります。水分子がホウ酸とリン酸と結合して発生してしまう、化学の世界ですよね。

廣神:今現在、白華現象が0だと証明や保証している工場はないように思います。ただ、各工場とも可能な限り0に近づけようとする努力をされています。

萩原:注入する薬剤を変えて白華現象を発生しづらくする工場やリン酸とホウ酸の両方を使っているが表面をコーティングして白華しづらくする工場と様々な努力が行われています。今後、100%白華しない商品が出てきたら皆が欲しがるでしょうね。日々100%に近付く努力をしていかなければ不燃業界では置いていかれてしまうのかもしれませんね。

廣神:あと忘れてはいけないのは基本的に屋外に使えないということです。屋外で使うと白華現象はほぼ間違いなく起こると考えていいでしょう。外気に触れてしまうし雨に濡れてもいけませんから。たとえばマンションの管理人の方がエントランスに木材を使いたいとなった場合、万一白華してしまうと毎日通る場所なので目立ってしまう。そういう時に「そこに使ってはいけませんよ」と言えるような存在になりたいですね。

萩原:目先の売上のことを考えるのではなく、責任を持って販売していかなくてはいけないですよね。お客様がどれだけ望んでいてもそれに伴うリスクもお伝えすることは販売する側として持ってなくてはいけない意識だと思います。

-不燃木材は塗装もできるのでしょうか。

萩原:不燃木材に塗装ができないのかと問い合わせも結構いただいています。一般的に工場が無塗装の状態で不燃木材の認定を取得している場合、無塗装の状態でしか認定書を出すことができません。無塗装の状態で工場が出荷して現場で塗料を使った場合、塗装した部材の不燃の認定が取得できないのです。

廣神:無塗装の不燃木材認定品に不燃塗料という組み合わせがあり、セットで使えるものだと思いがちですが実はそうではないのです。発注者に(認定書は出ないが)これでも大丈夫なのかと確認を行ってから実施しなくてはなりません。

萩原:現場で塗装した不燃の木材の認定書は発行されないので別々に取得していただくかこれで大丈夫かと設計士に確認を行っていただく必要があります。

廣神:塗装をするのかしないのか、色々と制限や相性があるのも不燃木材の特徴の1つですね。

萩原:塗装をするかしないか、どのような塗装を行うのか。そこに白華現象のことも考えながら進めていかなくてはなりません。ウレタン塗装を行うと白華した際にウレタンの塗膜が邪魔をして白い粉を取ることができない等大変なことになってしまう、無塗装の場合は塗装したような仕上がりにはならないが無塗装だと削って戻すこともできる、どちらを取るかですかね。

-塗装材によって不燃木材との相性のようなものもあるのでしょうか。

廣神:ありますね。この塗料を塗ってはいけませんというような相性は存在しています。塗装済品で不燃認定を取っている工場もまだ少数ですが出始めてきました。

萩原:塗装の色も何種類も出している工場も存在しています。木の良さをそのまま出すためのウレタンとは別の塗料で何色のパターンも保有している工場も存在しています。


不燃木材に関して東集としてお力になれること

-東集として今後読者の皆様にどのように不燃木材のご提案を行っていけそうでしょうか。

萩原:現場でどのような不燃木材が求められているのか、勉強もしながら現場の声を聴いてしっかりと対応していかなくてはならないですよね。

廣神:不燃木材を扱う工場は多いですが、それぞれが単独でゼネコンを中心とした大規模な案件を取ろうとしている中で、東集は10社程の不燃木材工場とお付き合いをさせていただいています。あらゆる需要、環境、設計、仕様、予算、納期までを加味したうえでどの工場に依頼をするのがベストな選択なのかご提案ができると思います。東集が窓口になることによりお客様のご要望にお応えできる最善の方法を考えていきたいですね。

萩原:現場においては品質、価格、納期と求められるものが異なります。私たちがお付き合いしている工場は価格に自信があったり納期に自信があったりと様々な特徴を持っています。その他にもクレームに強い、というようなことや白華しにくいというような特徴を持っている工場もあります。現場の状況に合わせたご提案が少しずつ行えるようになってきていると感じています。

-これまでお話を伺ってきた中で大きな公共工事の話が目立っていたように思います。それ以外の案件というのもあるのでしょうか。

萩原:公共工事等の大きい現場となると使用する量も多いですし、予算を多くとっていることもあります。その一方で店舗の改装や幼稚園、お寺等で使う事例も段々と増えてきています。元請から小売店に下りてくるルートでの納品も増えてきていますね。

庁舎、図書館、音楽ホールのような公共施設のみならず、小中学校でも採用される事例も増えてきています。
庁舎、図書館、音楽ホールのような公共施設のみならず、小中学校でも採用される事例も増えてきています。

廣神:私の近所の店舗でも飲食店のほんの一部で使われていたりするのを見かけます。昔は不燃木材になかなか手が出せなかった。工場の努力もあって身近な存在になってきているように思います。木材が使えない場合は工業製品を使おうとなってしまう、その傾向も変わってきているのかもしれません。

萩原:木材を使うということは環境にも優しいのです、だからこそ世界的にも木材を使おうという動きも出てきています。木を使うことにより二酸化炭素の固定等環境に優しいサイクルが生まれていきます。実際にこの前にあった話なのですが、工務店様が不燃木材の木材を購入しようと思っていたら実は不燃木材ではなかったということがありました。現場がもう動き始めている中でどうするかという状況です。通常不燃木材を納品するのに状況にもよりますが1カ月~2か月程かかるのですが14日以内で納めてほしいという注文でした。結果的にその現場では10日で納品することができました。

廣神:短納期で対応できるというのも企業努力の成果ですね。今のお話の通り、不燃木材はオーダーを受けてから量が決まって工程を組んで製材して時間をかけて注入を行い、その後に検査も行います。月単位の納期であったものが今では注入の前工程で半製品の状態として保有することで短納期を実現している素晴らしい努力の形ですね。


-これからも不燃木材は進化し続けていくのでしょうね、とても楽しみです。本日はお二方ともありがとうございました。