【東集×クレスト】レガシー産業からのイノベーション

2020年01月27日

 東集がクレストホールディングスのメンバーに加わって早半年を迎えるところに差し掛かりました。イノベーションを起こすため社内では様々な取り組みが行われています。今回は東集の営業担当又吉と東集に先駆けてイノベーションを起こし続けるクレストのフィールドセールス担当松井さんとの対談を通じてイノベーションについて考えます。 

永井 俊輔(写真 中央)

2019年からホールディングス体制となった後、株式会社クレストとクレストホールディングス株式会社の代表のみならず、株式会社ドラミートウキョウの代表取締役を兼務している。             (※東集における役職は取材当時のものとなります。現在の代表は望田が務めています。)

株式会社クレスト 松井亮(写真 右)

2018年入社。サイン&ディスプレイ事業部フィールドセールス1課

株式会社東集 又吉浩(写真 左)

2012年入社。東京東営業部 営業

-本日はよろしくお願いします。まず初めにお二人の経歴をお聞かせください。

松井:私は岐阜県の出身で、大学卒業後に富山県の設計事務所に就職し、その後、創業100年程で従業員500名弱の地元岐阜の大手家具メーカーに転職しました。そこで6年ほど営業を担当したのですが、東京でもっと新しいことに挑戦したいと思って2018年にクレストに転職しました。現在は店舗を中心にディスプレイや内装案件の営業を担当しています。

又吉:私は東京都江東区で生まれ育ちました。大学卒業後の2012年に新卒で東集に就職したのですが、木材に関しては就職してから勉強したので入社前から詳しかったということはありません。本当に偶然ご縁があり、この東集に就職することになりました。年数を重ねていくと、ある頃から木材・そして東集の得意領域である集成材加工の奥深さもわかってきて、やりがいを感じるようになってきました。2019年9月にクレストホールディングスのグループ企業に加わってからは会社の体制がガラリと変わり、IT化や営業面でのマーケティング機能の追加、外勤営業でのKPI経営と、様々な変化が起きていて一層やる気が出てきました。ここから先の自社の変革が非常に楽しみになっているところです。

-木材業界をレガシー産業と位置付けられていますが、長く業界にいるとどのようなことを感じるのでしょうか。

又吉:近年、国内の新築着工件数の減少に伴う木材需要の減少は皆様ご存じかと思います。業界全体が縮小傾向であり、東集の業績も下り坂でした。それに対して会社の変化があまり起きていなかった、このことに非常に歯がゆい思いをしていました。

松井:私も同じような経験をしました。私もクレストに転職する前に同じような気持ちを持っていました。家具メーカーも職人の世界ですから、保守的で新しいことに挑戦したがらないですし、歴史ある会社は特に経営陣が過去の成功体験にしがみつき、イノベーションを起こそうとしないのです。その結果、10年先、20年先を見すえた長期的なビジョンが示されないまま、ただ短期的な売り上げ目標を設定されてひたすら営業していました。家具が好きで志を持って入社しても、そうした体質に幻滅して辞めていく若者は多かったです。

又吉:社内のIT化が遅れているということも感じていました。材木店や工務店からの注文書はFAXが中心です。メールにするだけで効率化できるのにと考えていました。メールになると出先からも確認することができますからね。木材業界はこのようにアナログな部分が多くてもっとデジタル化されればどれだけ日々の業務が効率化できるだろうかと。若手社員ほど他の業界と比較してアナログな部分に不満を持つこともあるのではないでしょうか。

松井:前職の家具メーカーでも基本はFAXでした。今思うと「レガシー」であると分かるのですが、転職するまではそれには気付きませんでした。レガシー産業でずっと働いていると自分がレガシー産業に染まっていて時代に取り残されていることに気付くことがないのです。

又吉:「レガシー」から脱却できるかは経営者次第だと思います。経営者のITリテラシーが低ければ、いくら現場が望んでいてもIT化は進みません。東集がクレストホールディングスに加わり、デジタル化が急速に進んでいます。

-今後、木材業界はどのようになっていくと思いますか。 

又吉:人口減少は今後も止まることはないでしょうし、住宅着工件数も減少していくと考えられます。このような状況下ではここ2~3年の間に木材関連の会社は減少していくのではないでしょうか。ただし、木材需要が完全になくなるわけではありませんので、高品質の木材をより安価に提供できる会社は生き残ると思います。必要とされている会社は環境が変わっても生き残ることができる、東集もそのような存在になっていかなければいけません。今、注目されている「DtoC」(Direct to Consumer)というビジネスモデルですが、木材業界においても同じような形のビジネスが起こるような気がします。

補足:DtoCとは店舗を介することなくECサイトの中で直接消費者に商品を販売していくビジネスモデル。SNSの普及などにより顧客と直接コミュニケーションが取れることや、多様なマーケティングが行えるようになったこともあり、店頭を介する必要性が薄れてきていたことが成功要因とされる。

又吉:木材業界では次のような流通経路が一般的だとされています。

①「森林業者」(木を伐採する)→②「原木市場」(丸太を販売する)→③「製材業者」(丸太を製材に加工する)→④「木材問屋」(製材を売る)→⑤「工務店」「ハウスメーカー」(製材で家を建てる)。

東集は③の「製材業者」にあたりますが、木材業界も「DtoC」が進めばこの領域はやはり減っていくでしょう。たとえば、①の「森林業者」が製材まで行って、⑤の「工務店」「ハウスメーカー」に直接販売することも考えられるわけです。そして流通経路が簡略化されるほど商品価格は安くなりますから、結果的に家を安く建てられることになります。消費者(住宅購入者)のことを考えれば、木材業界の「DtoC」化は自然の流れかもしれません。

松井:そうなると無駄なやりとりがなくなる分、市場規模は縮小するということでしょうか?

又吉:そうですね。業界にとっては無駄が省かれることにより消費者の利益につながるわけですからいいことではないでしょうか。こうした業界の無駄を省くことにビジネスチャンスがあると思いますし、「無駄な存在」と思われないよう高付加価値のサービスを提供していかなければいけないでしょう。

-今後、東集が解決をめざす業界の課題は何ですか。

又吉:最初に思いつくのは、ラストワンマイルの物流です。工務店の大工さんが翌日使う材木を前日に発注してくる等、注文から納期までの時間が極端に短く効率的な運搬ができていません。もし前もって注文を受けることができれば、効率的な輸送ルートを組んで複数の建築現場を一台のトラックで回るということが可能になります。しかし、現実的にはギリギリの注文が重なることが多く、極端にいえば現場の数だけトラックを手配しないといけないこともあります。無駄が多いと感じますね。

松井:それはディスプレイ業界でも起きています。たとえば、ショップAの工事をした翌日に、同じデパートのショップBの工事をするということも少なくありません。先方の要望だとはいえ、ショップAに一日我慢してもらって、AとBを同日に工事するように、もう少し効率的に作業できないものか考えています。

又吉:同日に作業できれば工事費が下がりますよね。それまで一人の職人さんが1日1件しか作業できなかったものが、3件作業できるようになれば、1件あたりの単価を下げられるのですから。

松井:職人さんの取り分が増えますよね、単純に3倍の金額を支払うのは難しいと思いますが、おそらく1.5倍~2倍ぐらいは支払えるはずです。ショップは安く工事ができる、職人は収入がアップする、クレストは売上が増える。効率化が実現すれば「3方よし」になるわけです。

又吉:顧客数を増やすことはデータを集めるという点でも大切ですよね。たとえば東集の場合だと多くの工務店からの木材発注データを集めることができれば今後トレンドになっている木材の種類から需要予測ができるかもしれません。また、エリア分析をすることで受注が集中しているところに集中的に営業を行うという方法もとれるかもしれません。簡単ではありませんが、将来的には工務店のデータを集めて横並びで分析できるシステムをつくりたいと思います。それにはやはりまずは営業ですね。地道なことをコツコツ積み重ねることで将来大きなイノベーションを起こしたいと思います。