職人の地位向上、そして日本を元気に

2020年03月24日

 2020年1月、サンクジャパン株式会社の代表取締役の清水氏と弊社代表の永井の対談が行われました。2名に共通していたのは業界やそこで働く人の地位を変えようとする確固たる強い意志。心の奥で共鳴しあうからこそ実現した今回の対談、ぜひご覧ください。 

クレストホールディングス株式会社 兼 株式会社東集 代表取締役社長 永井 俊輔(写真:左)           (※東集における役職は取材当時のものとなります。現在の代表は望田が務めています。)

早稲田大学商学部卒。株式会社ジャフコでバイアウト投資に携わった後、父親が経営する株式会社クレストへ入社。CRM(顧客関係管理)やマーケティングオートメーションを活用して4年間で売上を2倍に拡大しサイン&ディスプレイ業界大手に。2016年より同社代表取締役社長。2019年8月ホールディングス化に伴い、クレストホールディングス株式会社 代表取締役社長就任、同年9月東集を完全子会社化し、東集代表取締役社長に就任。


サンクジャパン株式会社 代表取締役 清水 公彦(写真:右)

大学卒業後、住宅用資材の大手メーカーに従事。その中で、大企業において働くことに疑問を抱き、28歳の時に中小企業でのキャリアをスタートさせる。建築工事を請け負う企業に従事し、30代前半(2007年)の時に「職人の地位向上、そして日本を元気に」の信念の下、サンクジャパン株式会社を設立。工務店の内装や外装を一手に請け負い、広いネットワークを活用して施工する体制をつくることで職人が誇りをもって仕事ができる労働環境づくりを実現している。


サンクジャパン株式会社とは...

建設業の職人の給与が低い、自分の子供に誇りをもって仕事をしている姿を見せたい。職人の地位を向上させることで「職人の地位向上、そして日本を元気に」の理念の下、工務店の内装・外装を一手に請け負う、清水氏が率いる事業会社である。

また、職人が経営戦略を学ぶ場として「参九塾」を運営し、職人の地位を向上させるため、清水氏が自ら「ランチェスター戦略」の講義を行うことで独立した親方の支援も行っている。

サンクジャパン株式会社のサイトはこちら

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清水:本日はよろしくお願いします。今回、最初にお伝えしたかったのは永井社長が本気だというのをとても感じたことです。先日1月1日に新年の挨拶のメールを受け取り、その時に年始からしっかり仕事をされていることに本気度を感じたのです。私は22歳から建築業界にいるので永井社長のような業界を変えようと取り組まれている方の存在がとても嬉しくなりました。事前に経歴を拝見してきましたがどのような経緯で今に至っているのでしょうか。

永井:私がクレストに入社したのは実家が看板屋だったためです。2代目として父親に呼ばれて転職しました。転職をしたのがちょうどリーマン・ショックの頃で大変な市況ではありましたが、営業活動に注力を行い地道に顧客を増やしていくことを第一に考えていました。その前の新卒で入社したファンドでは企業価値を高めるために「業務を効率化すること」「生産性を向上すること」を通じて、業績を抑止、いずれ会社を売却するという「終りがある」ビジネスに対して少し懐疑的になっていた頃でした。私はこの頃から、売却を目的としない事業の再成長を目指すようになりました。

クレストの中で本気で事業の再成長のために努力を続け、更に売上が上昇してゆくことが数値上でまさに実感して参りました。

そして成果が出て改めて振り返った時に「看板屋を立て直すことができた」、今後は看板屋に限らず他の産業でも同じように、EXIT無き世界の元での企業再成長及びイノベーションの実現という企業経営を行うことが自分の使命であると考えるようになりました。その中で巡り合ったのが東集だったのです。

清水:そうだったのですか。東集がホールディングスに加わってから建築寄りに進んでいる印象を受けているのですが、今後どのような方向を目指すのでしょうか。

永井:東集の経験・歴史、これらをしっかりと活かしたイノベーションを行っていくことです。そのためにも将来に向けてしっかりとレガシーアセットを蓄積していかなくてはなりません。また、そのためにはグループ企業間の相乗効果を生み出していくことも考えています。メディアに出たりすると、私はベンチャー企業の経営者のようなイメージで捉えられるケースのほうが多いですが、実際にはいわゆるベンチャー・スタートアップと言われるようなエクイティ出資を受けたりJカーブをするようなビジネスモデルでの起業はしたことがありません。実際前職はファンドのバイアウト投資部門にいたためにスタートアップ投資の第一線にいたわけでもありませんので、まさにレガシー銘柄への投資及びPMIのプロとして前に進んでゆければと思っています。

今後の方向については、グループ間の相乗効果が生まれるようになればこれまでとは違った視点でビジネスを考えられるようになるはずです。さらにそれを実現することができれば社会的な課題も解決できるようになるのではないでしょうか。たとえば、後継者問題や企業の労働生産性の低さ、中小企業の衰退など、様々な社会課題があると思いますが、私たちはこれらの課題を解決していける企業であるということを世の中にお伝えしたいです。

清水:私たちは工事業界に属しています。一般的には塗装やタイルの担当業者がいて...と分業して一軒の家を作るのが一般的な家づくりだと思います。私が大手住宅用資材メーカーに勤務していた頃に監督が1人で20や30といった業者とそれぞれに打ち合わせをしている姿を知ってこれは大変だと感じました。そこで、内装と外装をまとめて行うことができる会社を作ることができれば窓口を減らすことができるのではないかと考えて立ち上げたのがサンクジャパンになります。そこから13年程経ちますが、私も後継者不足や職人不足が目の前に迫っている大問題であると認識しています。創業当時から「職人の地位向上、 日本を元気に」というキャッチフレーズを掲げてここまで続けてきました。私たちがいつもお世話になっている、現場の職人さん。この方々が家を買おうとしたら中々難しい。高い技術力を持ちながら現実にはアパートで生活している、このようなことが多いと考えています。また、自分の息子や娘に堂々と親の仕事を語ることができているでしょうか。このような話を聞いて考えた結果、職人さんの地位を上げていく必要性を感じたのです。現状は300人ほどの職人さんとネットワークがありますが、一人として社内職人はいません。300人の外注を行うことができるということです。その中で当社と役割分担を決めて業務を回しています。6年ほど前から職人不足がさらに激しくなってきたということもあり、なぜこのようなことが起きてしまっているのか考えました。その結果、「子供がみて職人がかっこよく映らない」「儲からない」の2つが理由であると認識しました。子供になぜ継がせないのか聞いて回ったことがあるのですが、朝も早いし力仕事、何より儲からない、これらが原因となっているようです。現状のままではよくないと感じ、長年学んでいた「ランチェスター経営学」を職人さんに分かりやすく伝えていこうと6年程前から参九塾を立ち上げました。職人の魅力を高めて日本でもう一度増やすことができないだろうかと考えての取り組みです。「利益がでる事業を行う、かっこよく在る」このような永井社長のメッセージが我々にはとても響きました。

補足:「ランチェスター経営」とは第一次世界大戦と第二次世界大戦から生まれた軍事作戦モデルであり、戦闘力=兵力の質×量として弱者が強者に勝つための戦略が説かれている。この考え方は現代のビジネスにおいても強者とされる大手企業に弱者である中小企業がどのような戦略を採用するのか、戦略を立案する際に用いられている。

永井:素晴らしいですね。当社でも同じようにこれから新しい取り組みにも挑戦していきます。たとえば、物流。まだまだ効率化できる部分があるのではないかと感じています。上流の物流も然りです、林業から当社までの物流も改善できる部分があるのではないかと考えているところです。

清水:他業界から見ているからこそ様々なアイデアを思いつくのでしょうね。私も工事の世界に入って違和感があったので今のビジネスをつくることができました。13年も同じ業界にいると視界が曇ってきてしまうなと感じることがあります。BtoBやBtoCの観点で新しいことを考えていたのでそれ以外の視点もあることに気付くことができました。

永井:今回お会いできたのはご縁ですからお互いに繋がっておくというのは、今後どのような形になるかは分かりませんが生きてくると思います。今後、木材業界もさらに大変になってくると思いますが、何かしらの接点を持ち続けておく、何かあっても大丈夫だろうという形を維持しておくことが重要であると考えています。

-お二人の熱い対談はいかがでしたか。現状を変えようと強い意志を持つこと、そしてイノベーションのスタートは、身近なふとした疑問や問題意識から始まっているのかもしれません。