【後編】ウッドデッキのホントの話

2020年05月28日

メンテナンスが基本的に不要なハードウッドを使ったウッドデッキが、インナチュラルの施工事例では多いといいます。一方、5〜10年で朽ちてくる木材が使われるその裏事情や、今後注目の素材について、前編に引き続き、ウッドデッキを扱うプロ、インナチュラル高島様をお迎えして、材木を扱う東集の萩原が、ウッドデッキについて斬り込んでいきます。

(構成・写真 渡邉奈月<ICPコンサルティング>)

株式会社インナチュラル IN NATURAL事業部ガーデンデザイン部 Senior Manager 高島敦(写真左)

大学で都市設計や緑地学を学んだ後、シクラメンの生産を経験。店舗スタッフを経てガーデンデザインの世界へ。一番好きな植物:ウマノスズクサ。好きな庭のタイプ:雑木の庭。


株式会社東集 東京西営業部 部長 萩原 実(写真右)

平成6年に東集に入社。最初に配属された茨城営業所とその後異動した栃木営業所で新規開拓活動を中心に従事。板橋店や本社での営業やお客様センターでの経験を経て東京西支店に配属される。平成28年に同店の店長に着任し、東京都や埼玉県エリアを中心に担当している。日々大切にしていることは「お客様が注文しやすい状況づくり」。


レッドシダー vs ハードウッド。プロ向けと一般向けで求める素材が異なる裏事情 

萩原:ハードウッドはメンテナンスが少なくて良いと話が出ましたが、インナチュラルさんは塗装もされるのでしょうか?

高島:現在取り扱っている天然木はほぼハードウッドで、塗装をしても耐用年数はほとんど変わらないと我々は考えていますので、お客様にお勧めすることはないです。

萩原:塗装は年1回ちゃんとやらないと意味がないと言われていますしね。

高島:ハードウッドは色が乗りにくいので、かえって手間がかかって費用が上がってしまいます

萩原:インナチュラル様は、ほぼハードウッドですが、東集ではレッドシダーという、わりと柔らかい木がデッキ用の材料として売り上げの4割ほどを占めています。この違いは何なのかと考えていると、この間工務店の方とデッキについて話した時にどうしても予算の関係で安い材料を選んでしまう。現場の大工さんもその材料だと長くもたないことは分かっているけど、予算の関係で仕方なく使うということを聞きました。

高島:それが現場の本音でしょう。既にできたものを売ることになると、定価が決まってしまうから予算も制約がありますね。我々の場合はゼロベースでお客様とスタートするのでデッキ予算は決まっていません。例えば外構工事の全部を300万円の予算で行う場合、デッキをハードウッドにしようとすると合計320万円必要になった。でもデッキはハードウッドが素敵だし長くそこにあってほしいから、フェンスの材料を変えて20万円分下げましょう、という提案ができるのです。

萩原:デッキだけではなく庭全体として考えると。デッキ以外に用いる石や植物とかでも値段が違うものがあるのですか。

高島:違いますね。値段が倍以上違うものもありますから、そこに住まわれる方のこだわりに応じて対処できます。予算オーバーした時にその方がデッキの材料にこだわらなければデッキの素材を安くすれば良いだけですし、逆も当然あります。また予算オーバーしてもその分をさらに出すから提案通りに作ってほしい、という方もいます。お客様と直接話すとそういった調整が可能になるわけです。さきほどレッドシダーの話が出ましたが、それでデッキを作っても5年~10年で朽ちてしまうイメージですね。

萩原:実は先ほど出た工務店の方もそう言っていました。「だいたい5年くらいで釘を打ったところが腐ってくる」と。

高島:そうなのです。きちんと1年1回塗装を塗り直して、10年ももてば「結構もっていますね」という会話になる。それだけメンテナンスしてやっと10年なのに、ハードウッドはノーメンテナンスでその3倍はもちます。ハードウッドの金額は3倍じゃないのに。

ハウスメーカーの提案で満足できない一般消費者の増加 

萩原:普段お客様と取引される時の流れはどんな感じですか?

高島:大半はお客様が直接店舗に相談に来ます。

萩原:店舗では工事もできることをアピールしているのでしょうか?

高島:それが意外としていなくて、大きくポスターを貼り出しているというより、埋もれています。もっとアピールしなければいけないのが現状ですね。

萩原:お客様は新築住宅に住んでいるというより、建築後数年経った家に住んでらっしゃる方が多いでしょう?

高島:そうですね。全体で見ればそちらの方が多いですが、10年以上前に作った庭の作り直しという感じで来る方は少なく、家が建ってから2、3年後に経済的な余裕ができたので自分たちの希望する庭を作ろうとするかたが多いです。近年は新築時の外構(家の外側を構成する構造物)を考えている方の割合も増えていますね。

萩原:それは意外です。

高島:最近多いのは、新築の家を建てた時に、ハウスメーカーが自身とつながっている地元の造園業者を連れてきて庭を作ろうとするのですが、「イングリッシュガーデンを希望しているのに、日本庭園風の庭を提案されるなど意見が全く合わない」というケースですね。

萩原:ハウスメーカーには家だけ作ってもらって、庭は自分たちで考え、自分たちで選んだ業者に依頼するのですか。

高島:こだわりを持つ方が増えてきています。家から庭まで一括してお任せではなくなってきています。ネットなどで探せば選択肢がいくらでもあるので、その中で自分たちの好みに合った庭を選べるようになったので。

萩原:実際にお客様の顔を見ながら商売をして、喜んでいただけるのは、大きなやりがいがありそうですね。施工が終わった後のメンテナンスとか、何年か後にお客様に会いに行くとかなどアフターフォローはされているのでしょうか?

高島:施工後しばらく経った庭を見に行くことがあるのですが、問題が顕著に現れるのが植栽です。「イメージした通りに育ってないな」「間違ったメンテナンスされているな」と感じたことがあります。また自分たちが作ったタイルの道が思った以上に似合っていると感じたら、他の現場でも使ってみようと思ったり、良い施工例としてその写真を撮って他のスタッフと情報を共有したりすることがあります。

ウッドデッキで使われる木材の今後 

萩原:最後に、ウッドデッキに使われる木材の今後について、どう捉えていらっしゃるか教えてください。

高島:我々は今までウッドデッキを作る際はハードウッドしか知らないのでそれを使ってきました。この業界を続けていると競合他社と比べて「(木材については)流通ルートも同じだしどこに頼んでも同じだな」という結論になって、あとはデザイン力の勝負になってしまう。材料に関する情報に飢えているのです。そんな中、昨年東京ビッグサイトで商談会があったのですが、そこで水分を極力抜いた木材に興味を持ちました。

萩原:裸足で歩けるような木材なのですか。

高島:そうですね。とはいえお客様には「ウッドデッキに出るときにはサンダルを履いていください。裸足で出るものではないですよ」と必ず説明しています。

萩原:一度幼稚園でウッドデッキに、ハードウッドを使うって方がいらっしゃって、やめたほうがよいのでは・・・と、思ったことがあります。パイン系の幼稚園などでよく使われる木材を進めましたが、「いや、これがいい」と譲らなかったことがありました。特に子供はデッキの上で走りますので、事故にならないためにもハードウッドのデッキに裸足で出ない方が良いですね。

高島:タンモクウッドは、もとはスギとかヒノキなので木目もあるし雰囲気も良い。価格もハードウッドとほとんど変わっていません。施工性はよいですし、耐久性も高いし薬剤も入っていない。最近は防腐・防蟻剤など中に薬剤を入れた木材は処分方法に困るみたいで割高になっていると聞いています。やはり今後はハードウッドや先ほどのタンモクウッドみたいな天然木材が伸びていくのかなと感じています。ただハードウッドのデメリットとして「木目らしい木目がない」というのがありまして、今後美しい木目があるハードウッドが出てきてほしいですね。

萩原:サイプレスは木目があり、堅さもあって独特の色合いもあるのですが、強度的にはハードウッドには及ばない。ハードウッドクラスの堅さで木目があれば使う商材として変わるのかもしれません。

高島:その一方で人工木はどんどん進化していて、脅威を感じています。それを選びやすくなる理由ができてしまう。人工木はささくれがなく、ケガをする危険がない。温度上昇がしやすくて真夏の直射日光ではその上を歩くのは厳しいというデメリットがあったのですが、今はそれが改良されつつありいずれは天然木と変わらなくなる、むしろそれより下がるのはないかと思っています。見た目にも木目調の人工木もできていますので、用途の幅が広がっています。東集さんは人工木を取り扱っていないのですか?

萩原:「取り扱えます」という感じで依頼があれば手配します。ただ人工木のルートは配送コストが高く、納品までに時間がかかりますね。

高島:今後天然木が人工木に勝つには何か突出した良い点がないといけないですね。今は総合的に利点が多いウリンが売れていますが、レッドシダーも何か良い点が見つかれば尖った商材として需要が発生すると思います。値段が極端に安ければそれも強みになるのですが、それほどは安くない。

萩原:レッドシダーの値段については上がっていますからね。工務店によっては、施工性がよいから使ってきたが、価格が上がってきたので使いたくないという声も聞かれるようになりました。今後、木材に関するトレンドも、情報交換していきたいですね。本日は、貴重なお話をありがとうございました。